ちゃらんぽらん日記

日々のあれこれ

いじめられた記憶

 実際にあったことなのかはたまた夢や妄想の名残なのか、ずっと曖昧だった記憶がある。誰かに確かめるのも怖くて、時々思い出してはもやもやしていた。ふとしたきっかけがあって、それを確かめてしまった。それは、いじめられた記憶だ。曖昧で確実なことが何かも分からないので、憶測の混じった文章になるが、書き留めておきたい。

 私が高校生の頃、ネットいじめというのが流行りはじめた頃ではなかっただろうか。私が通っていた高校にも裏掲示板というものがあったらしい。恐らく、はじめ私はその存在を知らなかった。しかし何かをきっかけに自分の悪口がそこに書かれていることを知った。書いた人は、私が勝手に予想したのか実際に判明したのか今となってはもう確かめようもないのだが、2人、記憶に残っている。

 たぶん、本人たちはいじめているつもりなど微塵もなかっただろう。悪口を言っている自覚もなかったかもしれない。ただゴシップへの好奇心が尽きず、面白がってそれを書き込んだだけだったろう。

 これもまた断片的に残っている記憶の破片を集めて残った部分を想像するしかないのだが、そのとき私は「何も傷ついてなどいない」という態度を取った。痛くも痒くもないと。こんなことに「傷つく」なんて、私のプライドが許さなかった。そうして、私の中では「何もなかった」ことになった。

 それからは冒頭に書いた通りだ。思いもかけないときに記憶の断片が蘇ってくると、それが実際にあったという確証を持てないまま、ただ夢にしてはやけにリアルな断片たちを前にしていつも戸惑っていた。そして昨日、そういう掲示板が実在したことを友人から聞いた。それで十分だ。

 これから私はどうしたらよいのだろう。若さゆえの過ちと、相手を許すこともできるかもしれない。でも、心の奥底に刻まれた相手に対する恐怖心と警戒心は解けることがないだろう。

 それにしても、あれから10年ほど経った今になって事実を認めることができてよかったのではないか。客観的に見てあれがいじめだったかどうかには興味はないが、いじめられたと本当はあのとき心の奥底で私が感じていたことを私自身が認められたことが重要なのだ。あのときの私にようやく声をかけてあげられるとしたら一言、「つらかったね」と言ってあげたい。