のろまに見えても真面目にやる
同じ仕事の時間を過ごすのでも、いいかげんに器用にやってしまうのと、のろまに見えても真面目にやるのとでは、得るものの中身がうんとちがう。その時はたいして気がつかなくてやりすごせても、後々、身についてくるものは雲泥の差っていう気がする。私は、亀のような真面目さんの生き方の方が好み。(22頁)
- 作者: 高山なおみ
- 出版社/メーカー: アノニマスタジオ
- 発売日: 2004/06
- メディア: 単行本
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私はついいいかげんに器用にやってしまうタイプだ。事務系の仕事ではそれはともするといいことのように思われがちだ。でも本当にそうかな、と自分のことを省みた。何より後々の自分のためにならないかもしれない。気づいたら目の前にある作業をこなすのみで時間が過ぎ、血肉となるものが残っていないかもしれない。
のろまに見えても真面目にやる人たちのことを、ややもすると私はどこかで見下してしまっていたような気もする。その人たちの尊さにも気づかずに。私には職人(手仕事をなりわいにする人たち)を志すことをあきらめた経緯があるのだが、私の持つそういった性質を考えると、それは当然の選択であり成行だったのだろう。もっと、自分の持つ性質について知り、自分と異なる性質を持つ人たちを尊重したいものだ。そしてできるのであれば、その生き方に学びたい、と今夜の私は思うのだ。
何か選択をしないとならない場面に行き当たったときに直感で選んだり選んだ理由をうまく言葉にできなかったとしても、その選択を自分で引き受け、その道を歩みながら少しずつ言語化していく。振り返り振り返り、言葉にならなかった思いたちに言葉を与える。そうして考えながら少しずつ前に進んでいく。そんな風にしてこれからも生きていきたい。