ちゃらんぽらん日記

日々のあれこれ

好きなもの

 織物で生計を立てている知人の娘さんが、私の好きな雑貨屋で大学時代の友人と3人で展示会をするというので行ってきた。古民家を改装した展示場で、木製の食器と織物、フェルト製の小物が並ぶ様は、温かくて清潔でなかなか良かった。

 知人の娘さんは大学時代、織物を勉強していたと言う。しかしこんなに手間暇がかかって報われないものはないと思ってやめてしまったそうだ。自身のお母様を側で見て実感したのだろう。それでも手で何かを作ることが好きで、こうして別の道を見つけた。交わしたのはほんの二言三言だが、私はそこに母娘の歴史を見た。

 私はと言えば、学校教育で求められた答えを素早く出すよう訓練されたマシーンと化し、今もその癖から抜け出せずにいる。淡々と事務仕事をこなす会社員である。しかし芸術家の父と陶芸や織物など手仕事をする知人と気が合う一面も持っている。そんな自分が嫌いではない。

 彼らの絵、織物、陶芸に代わるものが私に何かあるとすれば、文章に触れることが好きだということだろうか。本を読む、文章に浸る、考える、拙いが自分で文章を書く。それで生計を立てなくともよい。私は私なりに、好きなことを大事にして継続して生きてゆこう。