ちゃらんぽらん日記

日々のあれこれ

夫と息子には理不尽な経験をしてほしいねと話したことについて

1.夫の体験について

 昨夜夫が突然、「理不尽な経験って大事だよね」と言い出した。夫は中学から大学まで陸上をしていたのだが、そのための寮生活で散々理不尽な経験をしたらしい。私も運動部を少し経験しているので特に先輩後輩関係の理不尽さは想像がつく。夫はその中で仲間の大切さを学んだと言う。

 人は理不尽な経験をすると現状を変えたいと思う。しかし夫はそのために自分だけが反抗することはしなかったらしい。自分だけが歯向かったとしても連帯責任を取らされみんなに迷惑がかかると考えたからだそうだ。その中でひとりはみんなのために、みんなはひとりのためにということを学んだと言う。本当に現状を変えたかったら、現状を変えられる立場になるまで忍耐したらいいと夫は言った。その方が早いと。

2.私にとっての理不尽な経験について

 一言で言うと思考の始まりだ。理不尽な経験とはしばしば「どうして私だけがこんな目に遭わなければならないのか」ということだと思う。私が生きてきた中で一番大きな理不尽な経験は病気になったことだろう。以来、長い間なぜどうしてと考え続けてきた。現在は自分の病気を受け入れているが、その過程で少しは人間として成長できたと私は思っている。それを通して自分の人生を納得して生きることができるようになった。理不尽なことを経験し、それを受け入れて生きることは人生に対する大きな示唆を与えてくれるだろう。

3.夫と私の会話の結論

 その理由に違いこそあれ、二人とも理不尽な経験は大事だという結論に至った。だから息子にも理不尽な経験をしてほしい。しかし、親がそれを故意にさせることは必要ないと私たちは思っている。なぜなら、理不尽な経験とは、生きていれば自ずと出会うものだからだ。

4.異文化と出会う

 とは言っても、子どもが成人する前に理不尽な経験をすることができるような環境を作ることであれば親にもできるだろう。理不尽なことは、異質なもの、つまり異文化に出会ったときに経験することが多いのではないか。異文化と出会う機会にはどういうものがあるだろうか。

  • 価値観の違う人(外国人、世代の違う人、育った環境の違う人)と接する
  • 読書、映画鑑賞
  • 生活する環境を変える

 まず、馴れ合いの人間関係から理不尽なことは生まれやしないと私は思うので、様々な価値観の人と接すると良いと思う。そのために留学やホームステイをするのも良し、自分の住む地域のマイノリティと接するのも良し、両親の同僚や友人、祖父母と接するのも良し、学校で多くの人と交流するのも良しだ。また、人の考えを知るという意味で本を読むのも良いし、より視覚的に物事を捉えるために映画を観るのも良い。親としてはこれらを与えるのを惜しむことはしたくない。高校や大学で育った地域や国を離れて暮らすのも良いだろう。

5.最後に

 始めの方の夫と私の体験を読んでお気づきの方もいるだろうが、私たち夫婦はまさに異文化交流だ。夫婦には似ている者同士がなることもあれば、異なる者同士が惹かれ合うこともあるだろう。私たちは後者だ。衝突が避けられず大変ではあるが、家庭には異なる価値観があった方が子どもにとっても良いと私は思っている。価値観は違えど今回のように考えが一致することもあるわけで、その都度お互いのことを深く知りながら子どもにとってより良い家庭生活を送るには何がいいのか共に考えていきたいと改めて思った。